“もう私は、恋なんてしないと思っていた”

美しい岐阜県・白川郷を舞台に、妻であり、母であり、嫁である女性が退屈な毎日のなか、東京からやってきたひとりの男性に恋をする。10月3日(土)放送のスペシャルドラマ「三つの月」では、“ラブストーリーの神さま”と呼ばれる北川悦吏子氏を脚本に迎え、アラフォー女性を主人公にした秘密の恋を丁寧に描く。結婚してからもなぜ女性は恋をするのか?。ミレポルテ・ジャーナルは、主演の原田知世に、役を通して感じ得たその心理をたずねた。

――原田さん演じるヒロイン「繭(まゆ)」は、家庭でのお母さんとしての立場と、恋をするひとりの女性としての間で揺れ動きます。このような女性心理をどう思われますか?

「脚本家の北川悦吏子さんが、いろいろなシーンでの女性の心模様をしっかりと描いていて、私も繭に自然に近づけました。田舎の町に嫁いだ彼女は、母として妻として嫁として、懸命に過ごす日々の中で、いつしか息苦しさと孤独をかかえるようになって」

 

――刺激のない生活ですね。

「がんばっているのに、彼女の心に積もっていく思いを誰も聞いてくれないんです。そして、ただ過ぎ去っていく日々に絶望さえ感じている。おそらく、そういった方って実際にも結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。もし自分がそうならきっと息が苦しくなっただろうと思うし、誰かに聞いてもらうことがどれだけ大切か。想像しただけで胸が痛くなります」

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――そこに、谷原章介さんの演じる「秋風蒼太」が東京からやってきます。

「不思議と彼と一緒にいるとすごく気持ちがラクになって、救われていくこと、好きになることが同時に進行するんですが、無理もないなって(笑)。不倫なわけですから人に言えない恋なんだけれど、その道程はすごく理解できます」

 

――演じていて胸が痛くなった印象に残るシーンはどこですか?

「繭の誕生日に、学生寮にいる自分の息子が帰ってくる予定だったのですが、結局帰ってこれなくなるんです。さらに夫から叱られたりする。もちろん夫は彼女の誕生日なんて覚えていません。そのときの気持ちは、苦しいだろうなって……」

 

――最終的に繭は地元に残るか、東京に秋風のもとに走るのか選択を迫られますね。

「どういった選択をしても、おそらく彼女の心は縛れないんじゃないかと思います。人の心は縛れない…私の個人的な意見ですけど(笑)」

 

――繭は音楽の大学を出て、結婚し田舎に嫁ぎ、夫の食堂を手伝うかたわら夫の母親の看病にも追われます。劇中では「私を食堂のおばさんにしたのはあなたじゃない!」と夫に声を荒げる場面もありますね。

「夫はかなり年上なのですが、気が小さくて母親の病気にも向き合えず、思いはあるのに妻へ労いの言葉さえ上手くかけてあげることができない不器用な人です。もう少し彼が繭のいろんな思いを受け止めていたら、こんな風にはならなかったんじゃないか、とも思います」

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――自分のやりたいことを半ばで諦め、家庭に入ったり田舎へ戻ることについてどう思われますか?

「作品の舞台となった岐阜県の白川郷は、繭にとっては息苦しい場所でしたが、別の人から見ればとても癒される場所です。ですから場所というよりは誰と一緒にいるかが重要ではないかと。どんな場所に行っても良いパートナーや友人に恵まれていれば、そこでしあわせを見つけられるのではないでしょうか」

 

――作品タイトル「三つの月」は、ひとつの同じ月を見ていても、乗っている舟が違えばまったく別の様相を呈す意味の「一月三舟」からきていると聞いています。まさに“どこから月を見るか”の違いなのかもしれませんね。原田さんは昨年にアルバム「noon moon」を発売したりと、月にご縁がありますね。

「月は好きです。本当に見飽きないですね。どんどん形を変えていくけれども見上げるといつもそこにいてくれる。とても近くに感じるものなんですよね。太陽はまぶしくて直接見ることはできないけれど、月はそのまま見ることができるじゃないですか。なかでも昼間の青空に透けた月が好きですね」

 

――いわゆる「noon moon」ですね。

「月って神秘性があるじゃないですか。そうではない透明な感じに惹かれますね」

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――透明感といえば原田さんにふさわしい言葉だと思いますが、どうすれば年齢を重ねても純粋さや清らかさを持ち続けることができるのでしょうか?

「できるだけストレスを溜めないように心がけています。でも生きているとみんないろいろあるから、その気分を切り替えて、笑っていられるように楽しい時間を増やすことが大事だと思います。気持ちが落ちているときは友だちや家族と会って話をしたり、まったく別の場所に身を置いてみるとか。そこでふと自分が悩んでいることが小さく思えたらいいですよね」

 

――なるほど。

「考えても仕方のないことは持ち越さない。環境を変える努力や逃げ場を作るのも大事ですよね。劇中の繭は、ひとりで全てを抱え、どんどん追い込まれてしまった。でも自分のことを少しでも大切に思ってくれる誰かがいてくれたら、生きる力も湧いてきます。これから先、彼女の人生でそうした人々に巡り会ってほしいと思いました」

 

PROFILE

原田知世

1983年、オーディションで5万7千人の中から選ばれ、映画『時をかける少女』で主演デビュー。
近作は映画『サヨナラCOLOR』『紙屋悦子の青春』『しあわせのパン』、NHK連続テレビ小説『おひさま』、NHKドラマ10『紙の月』、WOWOW「海に降る」など数々の話題作に出演。
歌手としてもデビュー当時からコンスタントにアルバムを発表。
1990年以降は、鈴木慶一、トーレ・ヨハンソンを迎えてのアルバム制作、それに伴うオール・スウェディッシュ・メンバーとの国内ツアーなどで、新たなリスナーを獲得。
2007年、プロデューサーに伊藤ゴローを迎え、アルバム『music & me』、2009年『eyja』、2014年『noon moon』、2015年『恋愛小説』を発表。現在は高橋幸宏らと結成したバンドpupa(ピューパ)としても活動中。
そして、2015年9月9日に、『恋愛小説』『I could be free』のアナログ盤が2枚同時好評発売中。
そのほか、ドキュメンタリー番組等のナレーションを担当するなど幅広く活動している。
オフィシャルWEBサイト http://haradatomoyo.com/

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スペシャルドラマ「三つの月」

10月3日(土)14:00~15:24 TBS系全国28局ネットにて放送

http://hicbc.com/tv/3tsuki/index.htm

出演:原田知世 谷原章介 八千草薫 ほか

作:北川悦吏子

演出:堀場正仁

音楽:富貴晴美

 

製作・著作 CBCテレビ

制作協力 国際放映